胃のバリウム検査について

胃のバリウム検査のイメージ

胃のバリウム検査とは、正式には「上部消化管造影検査」と呼ばれるものです。X線吸収の多いバリウム(造影剤)とX線吸収の少ない炭酸ガス(発泡剤)を飲み、腹部をX線で連続照射する検査になります。主に口から食道、胃、十二指腸とバリウムが流れていく様子を確認します。バリウム検査の目的は、胃がんや食道がんの早期発見です。ほかにも、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃ポリープ・胃炎などが見つかることもあります。検査時は粘膜表面をバリウムが覆うので、ポリープや潰瘍などの小さな病変を写し出すことも可能となります。

検査について

検査前日まで

  • 検査をする日の2日ほど前からは、アルコール類を控えるようにしてください。
  • 検査前日の夕食は、午後10時までに食事を済ませ、それ以降は飲食をしないでください。食事はなるべく消化の悪い物は避けてください。
  • 当日、撮影の際、胃に食物が残っていると検査を中止することになりますのでご注意ください。

検査当日

  • 検査当日は朝から絶食となります。
  • たばこ・ガムも厳禁です。胃の壁を刺激することで胃液が過剰に分泌し、胃の壁にバリウムが付きにくくなることで、精密検査が必要という結果になることもあります。
  • 胸やお腹の周りにボタン・カギホック・ファスナー等が付いていれば検査着にあらかじめ着替えていただく場合があります。

※検査前に、胃の蠕動運動を止め、バリウムがすぐ流れ出てしまうのを防ぐとともに、きれいな写真を撮影するという目的で、鎮痙薬(ちんけいやく)と呼ばれる薬の注射をする場合があります。心臓病や緑内障、前立線肥大の疑いのある、もしくはそれらの病気にかかっている方は、事前に医師に申し出てください。

検査の流れ

  1. 1. 問診を行います。
  2. 2. 顆粒の発泡剤を口の奥の方に入れ少量の水と一緒に飲み込みます。お腹が張ってきてゲップが出そうになりますが、検査が終わるまでゲップを我慢していただきます。
  3. 3. バリウムをひとくち口に含み、指示により空気と一緒に飲みます。
    ※食道二重造影像を撮影する場合のみ
  4. 4. バリウムを全て飲みます。
    ※こぼすなどして服に付いてしまった場合、検査着に着替えていただきます。
  5. 5. 撮影を開始します。
    台が倒れ、体を仰向けやうつぶせ、左右に回転させるなどの様々な指示をさせていただきますので、それに従ってください。また検査台が回転しますので、指示に従ってご注意ください。胃の動きを止め、なるべく鮮明な写真を撮るために、「息を止めてください。」という指示もあります。

検査終了後のご注意

  • 検査時間は約10分です。検査が終了しましたらゲップをしてかまいません。
  • 検査終了後には多めの水を飲んで、30分後くらいにお渡しした緩下剤を飲んでいただきます。
  • 検査終了後24時間経過しても白い便(バリウム便)が全く出ず、腹痛を伴うようであればすみやかに相談ください。また、検査翌日から2日を過ぎても排便をみない場合は、腹痛を伴わなくても受診してください。

胃のバリウム検査と胃カメラ検査の違いについて

胃のバリウム検査と胃カメラの検査はどちらも胃の状態を検査し、腫瘍や潰瘍などを早期発見するためのものですが、それぞれメリット、デメリットがあります。

胃カメラ検査では口や鼻から内視鏡を挿入していきます。主に食道や胃、十二指腸の内部を直接(モニタを通してカメラが捉えた映像)、医師が目で見て検査するもので、微細な粘膜の変化を見逃しにくいというメリットがあります。疑わしい部分を見つけた場合、その組織を一部採取して病理検査に回せることも大きなメリットでしょう。一方で検査に嘔吐反射などの苦痛が伴うことがデメリットです。ただし経鼻内視鏡や(経口内視鏡でも)鎮静剤の使用で苦痛を軽減することも可能となっています。

胃のバリウム検査では、食道や胃の動き、食べ物の通り方、胃の全体の形がよく分かることがメリットとして挙げられます。また胃の萎縮の進行度合いを見られることで、胃カメラでは分かりづらいスキルス性胃がんの診断にも役に立ちます。デメリットとしては、その場で組織の採取などの処置ができないこと、下剤を飲むなど検査後の処置が面倒なことがあります。このほかにも、わずかですが放射線被ばくがあることなどが挙げられます。